漢方薬との付き合いかた

自己の生命力を信じる

あらゆる症状は、自らの身体が起こしている反応です。症状そのものが身体に備わる治癒力の証であって、治癒とはすなわち「自然な状態を取り戻すこと」に他なりません。漢方薬の役割は、そのような生命本来の力を手助けすること。主役はあくまであなた自身の身体です。

時間をかけて取り組んでください

今つらい症状を抑えるなら西洋医学・西洋薬が助けになってくれることでしょう。ちょっとした不調や病というほどではない状態、慢性的な症状や生まれ持った体質を改善したいのなら、漢方薬が力になります。お身体にあった漢方薬を服用することで、いずれはお薬を飲む必要のない健康な状態を手に入れるのが漢方医療の目標。とはいえ時間をかけて現在の症状が生まれているのですから、それを改善するにも一朝一夕というわけには行きません。病に対する治療というよりは、生活改善・体質改善に取り組むイメージで、じっくりと取り組んでみてください。

身体がよろこぶ生活を送りましょう

例えば胃腸を助けるお薬があるからといって「薬があるから暴飲暴食しても大丈夫」ということではありません。漢方の考え方を理解し、漢方薬とうまく付き合えるようになる方ほど、普段のお食事や生活習慣の改善に取り組まれるようになります。病にならないための食事・運動・睡眠・休息などの生活法を「養生ようじょう」と呼びますが、健康のための第一はまさに養生にあります。漢方との付き合いをはじめると共に、ご自身に合った養生法を見つけてください。

よくご質問されることをまとめました

薬は身体を治せない?

よく誤解されていることですが、お薬は身体を治すことはできません。折れた骨をつなぐのは身体が持つ治癒能力であって、医者ができるのは添え木を当てること。内科の治療でもそれは同じです。西洋医学がどちらかといえば病原菌への攻撃を目的とするのに対し、東洋医学は身体への応援を目的としているのが違いと言えるでしょうか。近年では免疫力を高める漢方医療が注目され、西洋医学や医療の現場でも取り入れられはじめています。

私たち一人ひとりの身体がもつ驚くべき力を、どうか信じてください。
発熱や咳、鼻水などの症状は、身体が正常であるための正しい反応なのです。