レシピにしたがって材料を用意し、お鍋でじっくりコトコトと煮る。漢方薬は医薬品なのですが、生薬のスープのようなものと捉えると、そのはたらきが理解しやすいかもしれません。煮つめた液体をそのまま飲むのが「煎じ薬」、飲みやすいように固形状にしたものが現在一般的な漢方薬です。
難しい名前の多い生薬ですが、実は「ショウガ」「ヨモギ」「みかん」など馴染み深い素材がずらり。これらを煮詰めたエキスには、きちんと素材の味や香りがあるのです。顆粒状になったお薬、なるべく味を感じないように飲み干していませんか? ちょっとお薬に対する捉え方を変えて、敢えて香りや味を感じてみてください。
漢方薬は、その反応を身体に委ねます。例えば生薬のひとつ「麻黄」には、発汗作用と共に制汗作用も含まれており、身体は自身の状態に応じてそれを選ぶのです。汗をかく必要があるときはそれを促進し、不要になったら汗を止める。人体のメカニズムは本当に驚くべきものであり、これをうまくサポートするのが漢方薬というわけです。
あなたに合った漢方薬ならば、身体はきっとそれを感じてくれます。
身体がよろこぶ理想の漢方薬を、建林松鶴堂は百年かけて追究しています。
いくつか漢方薬をお試しいただくと、お客様のなかには「こちらが美味しい」「こちらはまずい」といった感想を持たれる方がいます。あるいは同じ薬なのに、その時々によって感じかたに違いがあることもあります。
食べ物と同じように「そのとき身体が欲するもの」を、人は美味しく感じるのではないか。そのように推論づけたくなる事例は沢山あるのですが、残念ながら科学的に証明されていることではありません。
とはいえ人間の感覚というものが、驚くべき高性能センサーであるのも事実。味覚という観点から漢方薬と向き合ってみるのも面白いのではないでしょうか。もちろん「良薬口に苦し」を地で行くお薬もありますから、まずいというだけで避けてはいけないのですが。